未刊の小夜

多分、俺の中に脈々と眠るサディストとしての片鱗をマゾヒストの彼女は見抜いていたのかも知れない。

確かに俺はまだ低学年の頃から、幼馴染みだった彼女に対して遠慮や手加減をする事がなかったんだ。

とは言っても、喧嘩をして興奮の余りに殴る蹴る等の暴行を加えていた分けではなく、あくまでも女としての彼女の体に対しての興味本意から来る、いたずらとしてのスキンシップが一線を越えてしまった延長線上に、彼女の股間を蹴り上げたり、乳首をつねったりの加虐行為はしていたんだ。

それを彼女は、痛がっては居たものの嫌がってはいなかったし、寧ろ甘んじて受け止めていたんだ。

小学生の友達としての男女が、じゃれあって遊んでいる内にノリ過ぎてしまって歯止めが効かなくなった成り行きが、
結果的に「女の股間は蹴られても痛くないんだよ。」
と言う彼女の主張を実証すべく、自らスカートをたくし上げ、パンツを丸見せにして仁王立ちになった股間を蹴り上げている内にどんどんエスカレートして力が入って行ったんだ。

「蹴られても、何も付いてないから痛くないんだよ。」
と言いながら、蹴り上げられる度に股間を押さえながらうずくまって、
これは、「どんな場所だって蹴られれば痛いんだから当たり前じゃん。」
と言いながら、直ぐに立ち上がっては、脚を開いて次を受け止める姿勢を取ったんだ。

股間を蹴り上げているのに平気平気とばかりに立ち上がる彼女に対して苛立ちを覚え意地になっていたんだ。




小夜とは、幼稚園時代からの顔見知り?だった。

幼稚園時代には、特に一緒に遊んだりとか、話しをした覚えはなかったのだが、小学校に入学した時に、
「あっ、幼稚園の時に一緒だった子がいる。」くらいにしか思ってはいなかった。

まあ、当たり前なのだが、わずか40名くらいしかいない片田舎の単級の小学校なのだから、同じ幼稚園に通っていた園児は、みんな殆んどが同じ小学校に通うのは当然だったのだ。

小夜は余り可愛いくはなかった。
と、言うよりもブスだったんだ。

俺はと言えば、その小夜にすら似つかわしくないくらいに醜男だったのは確かだった。

各学年が一クラスしかない片田舎の小さな小学校。

教員の人数も知れたもので、低学年の内は同じ担任の教師が担当する方が生徒一人一人を把握出来ると言う事なのだろうか、ずっと同じ担任の教師だった。

なので、その担任の意向が強く反映されたのだろう。

クラス内での机の配置は、担任の偏見や大した意図もない、仲の良さそうな仲間同士が近くに集められる様な席順に配置されていたのだ。

つまり、頭の良さそうな子とか、やんちゃな子、
そして、可愛いくない子と不細工は子がなんとなく寄せ集められた席順が常だった。

定期的に席替えはなされてはいたが、俺の周りの顔ぶれは殆んどかわらなくて、絶対、必ず俺と小夜は隣同士か前後の席で、常に直ぐ側の席で六年間を過ごして来たのだ。


俺は小夜を女として意識はしていなかったんだ。

なにせ、常に近くに居る存在で、当然だが家族ではない。
兄妹的な親密さはなかったが、かと言って親友の様な友情の心情も抱いてはいなかった。

俺は、ちょこちょこと小夜に対してちょっかいを出していた。

と言っても、別に虐めと言う分けではなく、からかうと言った感じのじゃれあってる的な感覚で、それをされている小夜も、面目上は嫌がってはいたが、それに対して怒る様な事はなかったし、楽しそうにはしていたんだ。


放課後とかにも、一旦家に帰った後に一緒に遊んでいたりもしていたんだ。