140粒の色

雪なのか雨なのか?得体の知れないスランプがどんよりとした空から降り注いでまして、文字を読む気にはなるけれど書く気にはなれないんですわ。 まっ、書く必要性などない身の上なんで全く困ってはいないのですが、常日頃から無意味で不気味な文字列を並べ立…

カマイタチ

「俺の心は今ここにはないから、 悔しくも悲しくも、 なんともないんだ。」 スマホを右手に持ち変えて 強がりを吐き捨てた。 「それじゃ、 これ切ったら連絡先とか 写真も全部消してよね。」 彼女の望んでる事は、 この俺の右手のスマホの中に あるのかな? …

特級呪物

ゆったりと巻かれたカシミヤのマフラーから覗く後れ毛が冷たい潮風に曝されてゆらゆらと靡いていた。 見ている俺の方が彼女の寒さを感じてしまい、ふっと、自然に出てしまった右手。 胸元の結び目の隙間を整えて、襟足のマフラーを立ち上げ、その序でに目の…

未刊の小夜

多分、俺の中に脈々と眠るサディストとしての片鱗をマゾヒストの彼女は見抜いていたのかも知れない。 確かに俺はまだ低学年の頃から、幼馴染みだった彼女に対して遠慮や手加減をする事がなかったんだ。 とは言っても、喧嘩をして興奮の余りに殴る蹴る等の暴…

無言電話

こんな夜中に鳴る独特な着メロに俺は憂鬱になった。 そう、それは、 俺は一分間躊躇った。 囁く様な「ごめんね」の後は何も聴こえて来ない無言電話。 ひたすら耳に当てているだけのスマホは彼女の「ただ、繋がっているだけで安心できるの」と言われた存在確…

残念だよ

何も起こらなかった。 そこからは、何も始まらなかったし、 何も生まれなかった。 幾つもの夜に数百に及ぶ DMを送り合い文字で語り合った。 最初、俺はただ彼女を励ましたかっただけだったんだ。 お互いに、得体の知れない者同士が、このnoteで他愛のない感…